欅坂46の長濱ねるのファースト写真集「ここから」(講談社)が発売1週で累計発行部数が15万部を突破する大ヒットとなっている。好調な売上の裏には、写真集に合わせてスタートしたTwitterアカウント(@neru_nagasaki)の人気がある。フォロワー数は12万人超えと下手な芸能人よりも多く、多彩な写真、動画の投稿はファンにも好評で「有能すぎ」との声も上がっている。BuzzFeed Newsは講談社に務めるTwitterの”中の人”にSNSの戦略を聞いた。
【BuzzFeed Japan / 徳重辰典】

アイドルの写真集といえば、2017年は乃木坂46の白石麻衣の「パスポート」(講談社)が女性写真集では歴代最高の年間売上を記録。現在までに25万部を売り上げる歴史的なヒットとなっている。この「パスポート」のPRで一躍を担ったのが、9万近いフォロワーを集めるTwitterアカウント(@mai_westcoast)だが、実は白石のアカウントと長濱のアカウントは同じ担当者が運用している。

「写真集は発売の2か月くらい前に情報解禁し、予約を開始します。実際に発売されるまでの約2か月、話題をいかに途切れさせないかというプロモーションのためにアカウントを開設しました」(担当者)

もともと乃木坂46、欅坂46の坂道グループは個人のSNSアカウントを持っていない。さらにオフショットや、メイキング写真を惜しげもなく投稿したことで、白石のアカウントはファンの間で話題となっていった。

「やってからわかったんですが、フォロワーの母数が大きくなると、男女比だったり興味関心、こういう写真を投稿すると喜ばれるというコミュニティの温度がわかってきます。なので、マーケティング的な意味合いもあります」

アカウントを運用する中で、美人な白石の砕けた表情がファンの琴線に触れることがわかってきた。そこでスタートさせたのが「#食べ石さん」だ。

白石が幸せそうに食べている写真をアップするとファンの間で拡散。ネットニュース、さらにはテレビ番組でも取り上げらた。

「LINEニュースに取り上げられると2000~3000人くらいフォロワーが増る傾向があります。#食べ石さんが可愛いと『王様のブランチ』で取り上げられた時、Twitter発信でバズが作れる!と思いました」

白石麻衣で得たノウハウを生かした長濱ねる写真集のSNS戦略

白石麻衣のアカウントでの経験を生かし、さらに進化させたのが長濱ねるの写真集アカウントだった。

「コンセプトは基本的には一緒です。ファンサービス、その後にマーケティング、最後にバズを作り、ニュースに取り上げられる。長濱さんの場合、郷土愛が強く、地元長崎のPRをしたいというのもあり、ご当地ネタも出しています。長崎ネタだけで事前に20個くらい用意しました」

長崎以外にもネット民が好きそうな「デートなう」、にゃんこスターのモノマネといった流行りネタや、ファンの間で“世界一可愛いたぬき”と呼ばれていることから、たぬきのコスプレも撮影した。

長濱のアカウントの特徴の一つに写真の可愛いさがある。

実はこの写真、すべてTwitterの担当者が撮影。1シーンごとに10枚程度撮影し、そこからセレクトしている。

「私のスマホで撮っているんですが、もともと写真は好きなんです。ファンの方は写真集のメイキングのヒキの写真よりも、顔に寄った写真のほうが見たいかなと思って、普通よりもちょっとアップ気味で撮っています。するとファンの方が喜んでくれる。動画を撮る際もアップにすると被写体が照れる。そこにほつれ、人間味が出るとバズりやすい気がしています」

実は使いそびれている写真もあると言う。

「長濱さんがキュウリが好きなので、カッパの被りものをしている写真を実は撮っているんですが、出しそびれていて。もし見たいというファンの声があれば出したいです(笑)」

投稿の中でも反響が特に大きかったと語るのが「#長濱ねる50音チャレンジ」だ。

”ねる”という珍しい名前にフォーカスし、「ある」「いる」と最もしっくりする名前を探そうという企画だ。「いる」なら長濱が弓を射る写真と、バラエティーに飛んだ写真、動画を投稿しており、とにかく可愛すぎると評判を読んだ。

「長濱さん本人とプロモーションをどうやるか10月くらいに話したんです。長濱さんのお母さんが『ある、いる、うる…』と名前を並べて、一番しっくりきた『ねる』を名前にしたという話を知って、本当にねるが一番か検証しませんか?といったら本人が『面白そうですね』と興味を持ってくれたのでやりました」

「LINEニュースにも取り上げられて、50音チャレンジでフォロワーが1万2000人くらい増えました。名前が『ねる』だという自己紹介もかねた企画でしたが、反響は大きかったし、長濱さんを知らない人もいいねやリツイートしてくれました」

一方、この企画には“中の人“としての苦労もあった。

「ファンの方たちの反響を見ながら投稿したかったので、全部手動での投稿だったんです。私はスマホで更新しているんですけど、1時間に3ツイートのペースで述べ16時間。さすがに疲れましたね(笑)」

その甲斐あってPRの効果も非常に大きく、Amazonの総合ランキングでそれまで13位だった写真集が、一気に総合2位まで上昇した。

コンテンツとして意識したTwitter運用

今年は乃木坂、欅坂の写真集ラッシュ。各出版社も講談社のように写真集のTwitterアカウントをそれぞれ作っている。

「写真集でTwitterをやらなければいけない雰囲気ができている感じはあって、正直、他の出版社は面倒臭いと思っている方もいるかもしれませんね(苦笑)。土日も休みなくツイートしなければいけないですし」

他社のアカウントの違いは、アカウントをプロモーションのツールとだけ考えていない点だ。

「一つのコンテンツとして意識していますね。四角四面じゃ読み飛ばされちゃう。写真集を知らない、ファンの方とは違うセグメントにリーチする仕掛けと思って、やっています」

その考えが、白石麻衣、そして長濱ねるの写真集の快進撃に繋がった。

最後にTwitter担当者に長濱ねるの魅力について聞いて見た。

「長濱さんと同世代の方にとっては、クラスにいると気になるけれど、決して高嶺の花ではないという親みやすさや素朴さがある。年上の方から見ても知的でノスタルジーを誘う雰囲気があって、幅広く支持されています。欅坂は思春期の葛藤をテーマにした曲が多い印象ですけど、長濱さんは思春期のきらめきを体現できる。そんな子だと思います」

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